その様子を、控室へ入ってきた悠真が目にした。
春空は楽しそうに笑っている。
莉麻も笑っている。
二人だけで話しているわけじゃない。
それなのに胸の奥が少しだけざわついた。
……何だろこの感じ。
自分でも説明できない。
すると春空が悠真へ気づき、笑顔で手を振る。
春空「悠真。さっき莉麻ちゃんに現場のこと教えてた。」
悪気なんてまったくない笑顔だった。
悠真は小さく頷く。
悠真「そっか。」
短く返事をしながら、自分の席へ向かう。
その途中莉麻が振り返り、悠真と目が合った。
莉麻「悠真くん。体調は大丈夫?」
最初に出た言葉は、それだった。
悠真は思わず笑う。
悠真「うん。今日はちゃんと元気。」
そう答えると、莉麻は安心したように胸をなで下ろした。
その表情を見た瞬間。
胸の中の小さなもやもやが、すっと消えていく。
やっぱり莉麻ちゃんは変わらない。
誰と話していてもちゃんと俺のことも見てくれてる。
そんな当たり前のことが、少しだけ嬉しかった。
その一連のやり取りを見ていた奈津は、何も言わずにペットボトルのキャップを開ける。
静かに笑みを浮かべながら、
――やっぱり、悠真は分かりやすい。
そう思い、誰にも聞こえないように小さく笑った。



