その様子を後ろの席から見ていた春空は、窓へ肘をつきながら小さく微笑む。

二人は特別なことを話しているわけじゃない。

それでも空気が柔らかい。

自然体でいられる相手なんだろうな。

そんなことを思っていると、奈津が春空の肩を軽く肘でつついた。

奈津「何見てる。」

春空「んー?」

少し笑って前を見る。

春空「なんかさ。」

言葉を選ぶように少し間を空ける。

春空「悠真、あんな穏やかな顔するんだなって。」

奈津も前の座席へ目を向ける。

悠真は莉麻の話を聞きながら、静かに笑っていた。

病院で見た時と同じ笑顔。

肩に力が入っていない。

奈津は小さく頷いた。

奈津「そうだな。」

それ以上は何も言わなかった。