車がゆっくり事務所を出発する。
車内にはラジオが小さく流れ、さっきまでの賑やかさとは違う穏やかな空気が広がっていた。
莉麻は窓の外を見ながら、小さく息を吐く。
……本当に始まったんだ。
数日前までは、画面越しに応援していた人たち。
今は同じ車に乗って、仕事へ向かっている。
不思議な気持ちだった。
隣では悠真がペットボトルの水を一口飲む。
ふと視線が合うと、悠真は少し照れたように笑った。
悠真「緊張してる?」
莉麻は正直に頷く。
莉麻「うん。まだ夢みたい。」
その言葉に、悠真は小さく笑う。
悠真「俺も。」
莉麻「え?」
悠真「また会えると思ってなかったから。」
その一言に、莉麻の胸が少しだけ熱くなる。
思わず笑みがこぼれた。
莉麻「私も。」
短い会話なのに。
どこか心が温かくなる時間だった。



