その様子を少し離れた場所から見ていた悠真は、手に持ったペットボトルを見つめた。
……まだ受け取ってなかった。
莉麻が「あっ」という表情で振り向く。
莉麻「ごめんね、悠真くん。」
少し急ぎ足で近づき、ペットボトルを差し出す。
莉麻「待たせちゃった。」
悠真「ううん。」
受け取りながら、小さく笑う。
悠真「ありがとう。」
そのやり取りを見ていた春空は、悠真の隣へ腰を下ろした。
春空「莉麻ちゃんってさ。」
悠真が春空を見る。
春空「一緒にいると落ち着くね。」
何気ない一言だった。
でも、その言葉に悠真は少しだけ視線を莉麻へ向ける。
マネージャーの話を聞きながら、一生懸命メモを取っている。
その横顔を見つめていると、不思議と心が落ち着く。
……そうだね。
心の中ではそう思った。
だけど、その言葉は口には出なかった。
悠真はスポーツドリンクを一口飲み、小さく息をつく。
その静かな横顔を見ていた奈津は、何も言わずに二人へ視線を移した。
春空の視線。
悠真の視線。
どちらも自然と莉麻へ向いていることに、一人だけ気づいていた。



