少し離れた場所で水を飲んでいた悠真は、その様子を静かに見つめていた。

春空はスキンシップも多くて、初対面でも壁を作らない。

だから今の光景も、いつもの春空らしい。

……いつも通り。

そう思うのに。

莉麻の肩へ置かれた春空の手が、妙に目についてしまう。

ペットボトルを持つ手に、少しだけ力が入った。

その小さな変化を見逃さなかったのは奈津だった。

奈津は悠真を見て、小さく口元を緩める。

……分かりやすいな。

春空は人懐っこく接しているだけ。

でも悠真は、そうは見られなくなり始めている。

その時、春空が振り返って悠真へ手を振った。

春空「悠真ー!莉麻ちゃん、敬語やめてくれるって!」

悠真は一瞬だけ莉麻を見る。

莉麻は照れくさそうに笑っていた。

その笑顔を見て、悠真も小さく笑い返す。

悠真「……無理しない程度にな。」

短い一言。

でもその声は、どこか少しだけ優しかった。

そのやり取りを見つめながら、奈津は心の中で静かに思う。

――この三人、これからもっと賑やかになりそうだ。