最強の吸血鬼たちに執着されています

「それでは、本日の特集です。近年、世間を騒がせている吸血鬼による吸血事件に関してですがーー」

テレビから流れる声に、私は手を止めた。

「現在、警察は一連の事件について、同一犯による可能性が高いとして調査を進めています」

画面には、暗い路地や規制線の張られた現場が映し出される。

「被害者はいずれも若い女性で、首元に二つの傷跡が残されていました」

思わず眉をひそめる。

「……怖いな」

人間と吸血鬼が共に暮らす時代になったとはいえ、すべてが平和になったわけではない。

「なお、犯人については未だ特定されておらずーー」

そこで私はテレビの音量を下げた。

「あっ、もうこんな時間!」

時計を見ると、19時を少し前に回っていた。
夕食の時間だ。
寮の食堂は18時から21時まで利用できる。

キリのいいところで荷解きを終え、私は玄関へ向かった。
そして、ドアノブに手をかける。

ガチャ。

私がドアを開けるのと同時に、隣の部屋のドアも開いた。

「……あ」

思わず声が漏れる。

そこにいたのは、見覚えのある人物だった。

漆黒の髪。
冷たく光る紅い瞳。

昼間、教室で見かけたクラスメイト。
レオンハルト。

まさか、隣の部屋だったなんて。

「……」

彼も私に気づいたようで、赤い瞳がこちらへ向けられる。

数秒間、無言の時間が流れた。

あ、挨拶……しないと。
勇気を出して声をかける。

「今日から隣のお部屋みたいなので……よろしくお願いします」

彼は少しだけ目を細めた。

「……ああ」