最強の吸血鬼たちに執着されています

「シリウス様!?」
「生徒会長だ……!」
「シリウス様に話しかけられてるあの子は誰?」

ざわり、と周囲がどよめいた。
視線が一斉にこちらへ集まり、思わず肩がすくむ。

「あ……だ、大丈夫です」

慌てて姿勢を正し、私は深く頭を下げた。

「保健室まで運んでくださったと聞きました。本当にありがとうございました」

「ああ」

シリウスさんは安心したように目を細める。

「無事でよかったよ」

そう言いかけた彼が、不意に言葉を止めた。

「……?」

鼻先がわずかに動く。
空気を探るように息を吸い込み、その深紅の瞳が一瞬だけ私へ向けられた。

シリウスさんは小さく首を振ると、いつもの穏やかな笑みに戻った。

 ……何かバレるようなことでもあったのかな

一瞬だけ胸がざわつく。
でも、思い当たることは何もない。

薬もすぐに拾ったし、変なことを口にした覚えもない。

 ……考えすぎ、だよね

自分に言い聞かせるように小さく息をついた。

「生徒会長、お時間です!」

生徒会役員らしき生徒が駆け寄ってくる。

「もうそんな時間か」

シリウスさんは私へ向き直り、柔らかく微笑んだ。

「それじゃあ、また。無理はしないようにね」

「は、はい!」

そう言って彼は去っていく。
周囲の生徒たちは名残惜しそうにその背中を見送り、ようやくざわめきも落ち着いていった。

注目されすぎた。
周囲から向けられる好奇の視線に耐えられず、私は軽く頭を下げると、そのまま足早に教室を後にした。