最強の吸血鬼たちに執着されています

人間と吸血鬼が共存する世界。
両者の関係は、被捕食者と捕食者。
それが、この世界の揺るぎない現実だった。


吸血鬼ーー

彼らは人の生き血を糧とし、生きながらえる、人知を超えた存在である。
伝承の存在であった彼らは、いつしか現世に現れ、食糧を得るために動物を襲い始める。

やがて、その牙は人間にも向けられた。

日を追うごとに、血を失った死体が発見される件数は増え続けた。
人間の血を取り込み続けたことで順応したのか、それとも進化の果てなのか。
伝承で語られていた「太陽の光に弱い」という弱点は失われ、彼らは昼夜を問わず活動できるようになっていた。
さらに、人間のあらゆる言語を習得し、高い知性を獲得していく。

弱肉強食。
食物連鎖の頂点に立つはずだった人類をも凌駕する、新たな捕食者の誕生であった。

もちろん、政府も世界各国も、その脅威を黙って見過ごすことはなかった。
吸血鬼は捕縛対象、討伐対象、そして駆除対象として指定され、人類は総力を挙げて彼らと敵対する。


こうしてーー

人間と吸血鬼の戦争が幕を開けた。


理性を持たず、本能のままに行動する吸血鬼は次々と討たれていった。

しかし、高い知性を持つ上位種は違った。
彼らは戦術を学び、人間社会を理解し、組織的に行動することで、人類と互角の戦いを繰り広げた。

戦火は一般市民をも容赦なく飲み込む。
流された血は新たな糧となり、命が失われるほど吸血鬼は飢えを満たしていく。

まさに地獄絵図だった。

「地球を支配し、破壊を重ねてきた人類への贖罪であり、裁きなのだ」
そう語る者さえ現れた。

長きにわたる戦争の末、勝者はいなかった。
互いに失ったものが、あまりにも大きすぎたからだ。

生き残った高位の吸血鬼たちは初めて団結し、人類との対話の席に着く。
そして両者は、長い戦争に終止符を打つため、和平協定を締結した。

こうして世界は、決して信頼ではなく、均衡によって保たれた共存の時代へと移り変わっていく。