結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

「初めてのお昼デートなので、このくらいでいいと思います」

「……それも、婚活のルールなのか?」

「いえ、ルールというより、いい関係を築くためのテクニックです。長時間のデートはまだ関係の浅いふたりにとって気疲れになったりしますから」

 会員には、〝もう少し話したかった〟くらいの時間でデートを切り上げるのも効果的だとアドバイスしている。それに、仮交際中は複数の相手と同時交際が可能だから、ひとりに時間を使いすぎない方がいいという現実的な理由もある。

(それはそれとして、迅さん明日仕事だろうから早めに家に帰ってゆっくりしてもらいたいし)

「夕食を俺と一緒にとるつもりはないのか?」

 不機嫌そうな声が返ってきて、透子は目を瞬かせた。

「え、あんなに食べたのに、まだ、お腹がすいてるんですか?」

 思わず問いかけた途端、彼の顔に見たこともないような、苦々しい表情が浮かんだ。

「迅さん?」

「たしかに効果的なテクニックだな……ちょっと待ってろ」

 深いため息をついたかと思うと、迅は繋いでいた手を離し、スマートフォンを取り出してどこかへ電話をかけ始めた。