結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

「ありがとうございます。じゃあ、私の分も半分こしますね」

 嬉しくなった透子は手に持ったフカヒレまんを慎重に半分に割り、迅と交換した。

 迅が渡してくれた豚まんは、中身がぎっしり詰まっていて、味もしっかりしていた。ほんのり甘い厚めの皮との相性も抜群だった。

「美味しい。幸せ……」

 あまりの幸福感に、つい本音が零れる。

「こっちも出汁がきいていて美味い」

 迅も感心したように頬張るのを見て、ホッとする。どうやら楽しんでもらえているようだ。

 高級中華を個室でゆったりいただくのもいいが、こんなふうに肩を寄せ合いながら食べるのは楽しくて、心まで満たされるような心地がした。

 その後も、小籠包などいくつか食べ歩き、最後に待望の杏仁ソフトクリームを口にした。

「甘いけど、さっぱりしていて締めとしては最高ですね」

 冷たい甘さを堪能していると、迅は透子の顔をじっと見つめ、自分の分のソフトクリームを差し出してきた。

「ちょっと、これ持ってて」

「ん? はい」

 首を傾げながら受け取ると、彼はジャケットのポケットからハンカチを取り出し、透子の口元のあたりをそっと拭った。