結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 迅も感心したように大きな口に運んでいる。舌の肥えた彼にも受け入れられたようで、透子はホッとする。

 次に目を付けたフカヒレまんの店は人気があるらしく、多くの人が列を作っていた。ふたりは最後尾に並ぶ。

「あの、迅さん、すみません」

「ん?」

 メニューが書かれた看板を興味深げに見ていた迅は、こちらに視線を戻した。

「並んでもらっちゃって……というか、自分で提案しておいてなんですけど、迅さんはこういうのに抵抗があるのかと思ってました」

 遠慮がちに言いながら、透子は彼の反応をうかがう。

「イメージが違った?」

 口元に笑みを浮かべて、迅が問い返す。

「ええと、正直、食べ歩きに付き合ってくれるタイプだとは思っていませんでした」

「君にはだいぶ俺が心の狭い男に見えてるんだな」

「いえ、心が狭いなんて、そんな」

 透子は慌てて首を横に振る。

(すみません、強引で俺様で自己中心的な人だとは思っておりました)

 心の中でこっそり補足を加えていると、緩く絡めていた手に力が籠った。