結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 そう思いながら、透子は言葉を選びつつ、香織にお見合いが不成立だった旨を連絡フォームに打ち込んだ。

 少し残業をした透子はスーパーで軽く買い物をして自宅に帰り着いた。

 入浴を済ませ、夕食の支度をする。とはいえ、昨日作ったきんぴらごぼうの残りと、あまりものの野菜とベーコンを炒めたものに、即席の味噌汁という手抜き料理だ。

 母とふたり暮らしだったときはよく手伝っていたので、一通りの家事はできるし料理も作れるが、自分の分だけだと思うとつい時短を優先してしまう。

「いただきます」

 ローテーブルに並べた食事を前に手を合わせて箸をつける。

 いつまでも親に頼るのもいけないと、就職と同時に家を出て以来、こうしてひとりで食事をするのもすっかり慣れた。でも、ふと静かな部屋が寂しくなる瞬間もある。

 仕事が思うように進まないときはなおさらだ。

(やっぱり、香織さん落ち込んでいたな……)

 帰宅前に彼女にフォローの電話を入れたのだが、いつも明るい彼女の声がいつになく沈んでいたのが気になっていた。

(今度のカウンセリングの時に、しっかりお話させてもらおう)