結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 迅の言葉に透子は心の中でガッツポーズをとる。九回裏ツーアウトで、一発逆転サヨナラホームランを打った気分だ。弾む気持ちを抑えつつタブレットに手を伸ばす。

「前向きにご検討いただき、ありがとうございます。ではさっそく、真壁様のプロフィールを……」

「婚活相手は君にする」

「……キミ?」

 予想外の言葉が聞こえてきて、ピタリと手が止まる。頭のうえに大きなはてなマークが浮かんだ。

「持田透子。成婚退会に向けて、俺の交際相手になってくれ」

「……すみません。おっしゃる意味がよくわからないのですが」

 一言一句に理解が追い付かない。驚きすぎて逆に落ち着いた声が出た。

「〝結婚には恋愛感情は必要ない〟。その割り切った考え方が気に入ったんだ」

 目を瞬かせる透子に向かって迅は笑みを浮かべた。

「前にも話したが、俺は結婚自体するつもりはない。それは、結婚相談所だろうと、見合いだろうと恋愛だろうと関係ない。だが、結婚を勧める声も、縁談も、近寄ってくる女も後を絶たずうんざりしていた」