結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

「ああ、君自身の考えを知りたい」

 淡々とした表情と口調からは真意が読み取れない。ただ、こちらを責めたり揶揄おうとする気配はなかった。

「……まず、結婚は〝等価交換〟であるべきだと思っています」

 透子は一度息を整えてから口を開いた。

「どちらかが一方的に搾取する、もしくは搾取し合おうとする関係になってはだめなんです。相手に自分の持ちうるものを差し出し、同じくらいのものを返してくれる相手と結婚するのが正しい選択だと考えています」

 透子の担当した会員は、年齢や容姿、年収や学歴、総合的なステータスが同等の相手と価値観を擦り合わせた上で結婚していく。そして結果的に幸せになっている。

 しかしとき選択を誤らせる厄介な存在がある。〝恋愛感情〟だ。

「それと、結婚には必ずしも恋愛感情は必要ないと思っています」

「へぇ、それはなぜ?」

 迅の表情はさらに興味深げになる。

「恋愛感情は相手を冷静に見極める判断能力を失わせます。あとでお互いのゆるせない欠点や価値観の違いに気づいても遅いんです」

 気づくと透子は夢中になってしゃべっていた。