結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 ある意味、そうなのかもしれない。合理的な彼をその気にさせるためには、メリットを十分に伝える必要がある。もしこれでダメだったらきっぱり諦めよう。そう思いながら、透子は話し続けた。

「――なるほど。わかりやすかった。結婚相談所独自のシステムは興味深かった」

 ひととおり説明を終えると、目の前の迅は満足げにうなずいた。

(もしかして、婚活する気になってくれた?)

 淡い期待を抱いて見つめる透子に向けて、迅の口から出たのは予想外の言葉だった。

「持田透子さん、だったか。〝婚活界の魔女〟と呼ばれているここの所長の娘で間違いない?」

「え? ええ。そうですが……」

「君は結婚しているのか?」

「いえ、私は独身です」

「今、恋人は?」

「……恋人も、いませんが」

 個人的な質問を立て続けにされて、透子は戸惑う。

(もしかしたら結婚もしていなくて、恋人もいないくせに、人に結婚を勧めるなんて説得力がないって言われるの?)

 勝手に想像して被害妄想に陥る。しかし、迅は「そうか」とうなずいて、軽く身を乗り出してきた。

「君は、結婚について、どういう価値観を持っている?」

「私が、ですか?」