結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 最上階で降り、前回と同じカウンセリングルームに案内する。

 今日の迅はスーツ姿ではなく、白いTシャツに黒いスラックス、濃紺のジャケットを羽織った上品な休日スタイルだ。シンプルで適度に力の抜けた私服は、彼の大人の余裕をより引き立てている。洗練されたその着こなしに、透子は不覚にも目を奪われる。

(なんというか、なにを着ても、ものすごく絵になる人だな……このままお見合いに行ってもらいたいくらい完璧だ)

 コーヒーを用意し、迅の向かい側に座った透子はまずは、深々と頭を下げた。

「真壁様、先日は不適切な発言、申し訳ありませんでした」

「メールにも書いたが、もう気にしないでいい」

 端的に返された声音には棘がなかった。

「……ありがとうございます」

 透子はゆっくりと顔を上げる。本心はわからないが、とりあえず謝罪を受け入れて貰えたことに胸を撫でおろす。

「そうしましたら、プランの具体的なご説明をさせていただいてもよろしいでしょうか」

 透子は気持ちを切り替えて、タブレットの画面を立ち上げた。彼に婚活を前向きに検討してもらうために、寝る間を惜しんでプレゼン資料を作り込んできたのだ。