結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 大学で講師をしている西口は交際経験がなく、女性と話すと極度に緊張してしまうとても奥手な男性だった。なかなか交際が進展せずお断りが続き苦労したが、一年の活動を経て、五歳年下の会社員の女性と結婚した。

 女性とは直接関わる機会はなかったものの、成婚退会の際に西口が連れてきてくれて一度だけ挨拶を交わしたことがある。表情の柔らかい、優しげな印象は変わっていない。

「お嬢さん、こんなにおおきくなって……こんにちは。スカートお姫様みたいでかわいいね」

 透子がしゃがみこんで、笑顔を向けるとその子ははにかみながら、スカートの端を持ってヒラヒラとさせてくれた。

 成婚退会したあとも連絡をくれる会員は多い。西口も子どもができたときも、無事出産したときも報告をくれていた。

「こうやって、幸せな暮らしができているのも、持田さんがヘタレな僕の尻を叩いてくれたからです」

「西口様……」

 しみじみとした声が聞こえてきて、透子の胸は温かくなる。

 自分が縁を繋ぐお手伝いをしていた人たちが、幸せに暮らしている姿を見ていると心から嬉しくなる。
 
 透子は女の子にもう一度笑いかけてから立ち上がる。