結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 エレベーターで一階に降り、ロビーで迅が来るのを待つ。表通りから一本入ったビルの立地は、喧騒から少しだけ切り離された落ちつきがあった。

 ガラス越しに外を見ていると、ふと見覚えのある人がビルの前を歩いているのが見えた。

(あれ、あの人……)

 思わず目で追っていると、その男性もこちらに気づく。驚いた顔をしたあと、パッと顔を明るくしてビルの中に入ってきた。

「持田さん!」

「西口様、お久しぶりです」

 笑顔で近づいてきた男性は、以前透子が担当した元会員だった。

「ちょうど家族で、この先の友人の家に行こうとしていたんですが、このビル懐かしいなって見ていたら、持田さんがいらっしゃったので、驚きました」

「ご無沙汰してます。ここ、マリアージュ・アクシアさんの入っているビルだったんですね」

 二歳くらいの女の子の手を引いて、西口の妻が明るい笑顔を浮かべている。

「奥様もお元気そうでなによりです。お嬢さんも大きくなりましたね」