結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 メールのやりとりの中ですでに謝罪はしたものの、【気にしていません】と軽く流されただけだった。

(いやいや、ぜったい気にしているよね。最後思いっきり釘をさされたし)

『俺の視野を広げる、有意義な話を聞けるんだろうな。期待している』

 そう言われたことを思い出して、透子は思わず額を押さえた。

 希望は薄いが、話を聞いてもらえそうなら、マリアージュ・アクシアでの婚活に興味を持っていただけるようにしっかり説明しよう。

(でも、あそこまで、結婚したくないって思ってる人を結婚相談所に登録させるなんてできるのかな)

 甘いものが嫌いな人を、スイーツバイキングに誘おうとしているようなものだ。

 あれこれと思い悩んでいる内に、時刻は十四時四十分になろうとしていた。

(早めに行ってお待ちしていよう)

 エントランスで迅を出迎えるために、透子は勢いよく席を立った。

 マリアージュ・アクシアは、南青山の一角に建つ中規模オフィスビルの上階に入っている。透子たちのオフィスや一般会員のカウンセリングルームは6階、ヴェール会員用のサロンは最上階の7階にある。