結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 驚くほど整った顔立ちにはどこか艶があり、切れ長の目や男らしく上がった眉は意志の強さを感じさせる。形の整った薄い唇は血色がよく、軽く浮かべた笑みが大人の余裕をにじませていた。黒髪は軽く流すようにスタイリングされていて、清潔感がある。

 決して威圧的には見えないが、なぜか逆らえない雰囲気が漂うのは、三十三歳の若さで会社の経営のトップにいるからだろうか。

「入会はしません、とおっしゃられましても。すでに情報はいただいておりまして」

 彼の生年月日や学歴などの基本データはすでに彼に母から提供されており、今日は細かいプロフィールや結婚相手への希望などを聞き取りし、今後の活動について具体的に説明するつもりだった。

「いま手元にあるデータは確実に破棄してもらいたい」

「破棄、ですか」

 淡々と言い切る迅に透子は戸惑うことしかできない。

「そもそも、今日の面談の申し込みも母が勝手にしたことですから」

「確かにお母様からのご依頼とは、うかがっておりましたが……」

 本人も了承しているものだと思っていた。その前提が崩れ、透子は焦りを覚える。