文化祭の熱気が嘘のように引いていき、夕暮れの校庭には静けさが戻っていた。
片付けを終えて校門へと歩く道すがら、私たちの間には、さっきまでの賑やかさが嘘のような穏やかな沈黙が流れていた。
「……ねえ」
並んで歩いていた光輝が、不意に足を止める。
私もつられて立ち止まり、彼を見上げた。
夕日に染まる光輝の横顔は、ステージの上で輝いていた「完璧な王子様」なんかじゃなくて、ただの不器用な高校生の男の子だった。
「文化祭、終わっちゃったね」
「……そうね。片付け大変だったけど……まあ、悪くはなかったんじゃない?」
強がり交じりにそう返すと、光輝はふっと嬉しそうに目を細めた。
「そっか。……ねえ、若葉ちゃん。今日、終わったらさ、少しだけ遠回りして帰らない?」
その誘いに、私の心臓がトクンと大きく跳ねる。
「……なんでよ。早く帰らないとお母さんに怒られるし」
「少しだけ。……君と、ちゃんと話したいんだ」
まっすぐ向けられたその瞳から、私はなぜか目を逸らすことができなかった。



