イケメン双子兄弟×美少女双子姉妹の不器用すぎる甘い恋 ──私だけを見てくれる、たった一人に恋をした。──

文化祭の片付けが終わり、夕暮れが校舎をオレンジ色に染め上げる頃。



私は裏庭の自販機の前で、一人冷たい缶コーヒーのプルタブを引っ張っていた。



「見つけた」 背後からかけられた声に振り返ると、そこには私を探していた光輝が立っていた。



制服のネクタイを完全に外し、汗ばんだ額の髪をラフにかき上げた彼は、もう「人気者の光輝くん」の仮面なんて被っていなかった。



「……お疲れ様。劇、すごかったじゃない。主役様」



私が皮肉めいた笑みを浮かべると、光輝はふっと柔らかく笑い、私の隣に並んで腰を下ろした。



「ありがと。……でも、俺が一番見てほしかったのは、客席の隅にいた君なんだよね」



夕闇が迫る空の下、光輝の手がそっと私の手に重なる。



今度は、振り払うことなんてできなかった。



少し離れた場所では、双葉と智樹が相変わらず言い合いながらも、どこか楽しそうにほうきを動かしている音が聞こえてくる。



完璧な「お姉ちゃん」と、ひねくれた「妹」。



眩しい「兄」と、冷めた「弟」。



私たちが抱えていた窮屈で色褪せた境界線は、あの日の不器用なすれ違いと、ぶつかり合いの中で、きれいに溶けて消えていった。



――もう、誰かの影になんて怯えない。



これは、私たちが「私たち自身」として生きるための、新しい物語の始まりだった。