翌日の放課後。
私は昨日の苛立ちを冷ますため、足繁く通うようになった図書室の奥まった席に座っていた。
静かな空間。めくる本のページを音だけが響く……はずだったのに。
「隣、いい?」
聞き覚えのある明るい声とともに、パイプ椅子が引かれる。
顔を上げると、そこには光輝が立っていた。
制服のネクタイを少し緩め、いつものヘラヘラした笑顔の奥に、どこか穏やかな光を湛えた目をしている。
「……勝手に座ればいいでしょ。席なんて私のものじゃないし」
「冷たいなあ。まあ、そこが若葉ちゃんのいいところなんだけどさ」
光輝は自然に私の隣に腰を下ろすと、持ってきた参考書を机に広げた。
「ねえ、昨日のことなんだけどさ」
光輝が少し声を落として言った。
「智樹のやつ、あんなこと言ってごめんね。あいつ、基本ああやって突っ張るしかできない不器用な奴だからさ。本当は、周りのことめちゃくちゃ見てるくせにさ」
「……別に、私関係ないし」
「関係なくないでしょ。若葉ちゃん、昨日めちゃくちゃ怒ってたじゃん。俺の代わりに怒ってくれたみたいで、ちょっと嬉しかったな」
「っ、勘違いしないで! 誰があなたの代わりに……!」
私は慌てて声を荒らげそうになり、周囲の視線に気づいて急いで口を噤んだ。
顔がカッと熱くなるのが分かる。
光輝はそんな私を見て、楽しそうにクスクスと笑った。
「顔、真っ赤だよ? ……やっぱり若葉ちゃんって、素直じゃないよね」
からかわれてる。
そう分かっているのに、彼の前だと、いつもの「毒舌な私」の鎧がスルスルと剥がれていくような感覚がして、それがすごく焦った。
私は昨日の苛立ちを冷ますため、足繁く通うようになった図書室の奥まった席に座っていた。
静かな空間。めくる本のページを音だけが響く……はずだったのに。
「隣、いい?」
聞き覚えのある明るい声とともに、パイプ椅子が引かれる。
顔を上げると、そこには光輝が立っていた。
制服のネクタイを少し緩め、いつものヘラヘラした笑顔の奥に、どこか穏やかな光を湛えた目をしている。
「……勝手に座ればいいでしょ。席なんて私のものじゃないし」
「冷たいなあ。まあ、そこが若葉ちゃんのいいところなんだけどさ」
光輝は自然に私の隣に腰を下ろすと、持ってきた参考書を机に広げた。
「ねえ、昨日のことなんだけどさ」
光輝が少し声を落として言った。
「智樹のやつ、あんなこと言ってごめんね。あいつ、基本ああやって突っ張るしかできない不器用な奴だからさ。本当は、周りのことめちゃくちゃ見てるくせにさ」
「……別に、私関係ないし」
「関係なくないでしょ。若葉ちゃん、昨日めちゃくちゃ怒ってたじゃん。俺の代わりに怒ってくれたみたいで、ちょっと嬉しかったな」
「っ、勘違いしないで! 誰があなたの代わりに……!」
私は慌てて声を荒らげそうになり、周囲の視線に気づいて急いで口を噤んだ。
顔がカッと熱くなるのが分かる。
光輝はそんな私を見て、楽しそうにクスクスと笑った。
「顔、真っ赤だよ? ……やっぱり若葉ちゃんって、素直じゃないよね」
からかわれてる。
そう分かっているのに、彼の前だと、いつもの「毒舌な私」の鎧がスルスルと剥がれていくような感覚がして、それがすごく焦った。



