その黒曜、あまりに気高く、あまりに最狂

蓮は両腕のサラシを軋ませ、鉄パイプを振り回す不良の腕を強引に掴むと、そのまま床に叩きつけた。狂犬の如き咆哮とともに、圧倒的な腕力で次々と敵を粉砕していく。

「本当、蓮くんの喧嘩はゴリラだねぇ。ほら、そこの君たち、よそ見してると危ないよ?」

陸はストリート仕込みの軽やかな身のこなしで相手の懐に潜り込み、顎の下から拳を突き上げて白目を剥かせる。

さらにその時、倉庫の入り口から、何十台ものバイクのヘッドライトが一斉に夜の闇を照らし出した。

「お前ら、うちの可愛い弟分たちが暴れてる時に、大人しく見てるわけないよねぇ?」

ライトの逆光を浴びて現れたのは、ブレザーのボタンを全開にした副総長・三浦颯太

その後ろには、一ノ瀬刹那が率いる『黒曜』の本隊が、倉庫を完全に逆包囲していた

「そ、副総長……! 黒曜の本隊まで……っ!」

圧倒的な戦力差に、狂犬の不良たちは完全に戦意を喪失し、武器を地面に落とした

「お疲れ、蓮、陸。多久くんの情報のおかげで、面白いようにネズミ捕りが決まったね」

颯太が髪をクシャッと掻きながら、いつものチャラいタメ口で2人に近づく

「颯太さん! ウイニングランの出番、残しておきましたよ!」

と陸が笑う

「ふむ、多久君の『ファクト』の精度は完璧でしたね。これで神代の手足はほぼもぎ取ったも同然です」

一ノ瀬がメガネのブリッジを押し上げ、冷酷に戦況を記録する。

全員が勝利を確信した、その時。

倉庫の奥の影から、パチ、パチ、パチ、と静かな拍手の音が響いた