その黒曜、あまりに気高く、あまりに最狂

「ええ、確認しました。実に見事な初手柄です、多久君。時間、場所、神代の作戦意図……すべて一分の隙もない完璧な『ファクト』です」

「マジで!? 多久、お前すげえじゃん!!」

ソファーに座っていた蓮がガタッと立ち上がり、多久の肩を痛いくらいにガシガシと叩いた。

「俺たちのルートが狙われてたなんてな! 陸、聞いたかよ!」

「聞いた聞いた! 多久くんマジ命の恩人じゃん! ありがとー!」

陸も嬉しそうに多久の頭をクシャクシャに撫でる

「もー、蓮も陸も嬉しそうに騒いじゃってさ。でも本当、多久くんグッジョブ。一ノ瀬の厳しい特訓に耐えた甲斐があったね」

颯太が頭の後ろで手を組み、いつものチャラいタメ口で微笑みかける。

「いえ、俺はただ、皆さんの力になりたくて……」

多久が照れくさそうに笑ったその時、室内の奥からサラリと黒髪を揺らして、総長・レイが歩み出てきた

ブレザーをマントのように羽織った夜の姿。

彼女は多久の前に立つと、お淑やかに、しかし深い慈愛を込めて微笑んだ

「素晴らしい働きでした、多久君。あなたを我が『黒曜』に迎えた私の目に、狂いはありませんでしたね」

「レイさん……!」

最狂の総長から直接掛けられた誉め言葉に、多久の胸は熱さで震えた。

レイはフッと瞳を冷酷な戦意へと変え、幹部たちを見据えた

「神代は、我が校の誇りである蓮君と陸君を罠にかけようとしたのですね。……ずいぶんと、身の程を知らない二代目です」

「レイさん、どうする? あいつら二十人で待ち伏せてるらしいけど」

颯太が不敵な笑みを浮かべ、タメ口で問いかける。

「決まっていますよ、颯太君」

レイはいつもの丁寧な敬語のまま、冷たく、そして最狂の覇気を放ちながら言い放った。

「罠だと分かっていて飛び込むほど、私たちは愚かではありません。明日、その廃倉庫を取り囲むのは……我が『黒曜』の側です。彼らに、本物の恐怖を教育して差し上げましょう」

「「「応!!!」」」

多久が仕入れた最初の情報が、黒曜の反撃の狼煙となった。神代の罠を逆手に取る、黒曜の総力戦が幕を開けようとしていた