その黒曜、あまりに気高く、あまりに最狂

「違う、そこではありません、高橋君。神代の動向を探るなら、狂犬連盟がシマにしている隣町のガソリンスタンドの時間ごとの利用人数をグラフ化しなさい。そこに必ず“空白の時間”が生まれます。それが彼らの集会時刻です」

放課後の生徒会室。きっちり上までボタンを留めた一ノ瀬刹那が、
黒板に数式のようなメモを書き殴りながら冷徹に言い放つ

「は、はい! 一ノ瀬先輩……!」

ノートが真っ黒になるほどメモを取る高橋は、知恵熱が出そうだった。
黒曜の情報係になるための、一ノ瀬によるスパルタ居残り特訓だ。そこへ、ガラリと音を立ててドアが開いた。

「うわっ、一ノ瀬のやつ、また新入りをイジめてやがる。陰湿だなー!」

シルバーウルフの髪を揺らし、黒パーカー姿の千堂蓮がズカズカと入ってくる。

「本当だよ〜。高橋くん顔が真っ白じゃん。ほら、購買で余ったイチゴオレあげる」

ミルクティーベージュのパーマ頭の鳴海陸が、ストローを挿したパックを差し出してくれた

「蓮、陸。ノックもせずに生徒会室に入るなと言っているでしょう。あと、私はイジめてなどいません。教育です」

一ノ瀬がメガネの奥の目をピキッと怒らせる

「教育だかなんだか知らねえがよぉ!」

蓮が高橋の肩に腕を回し、ニカッと笑った。

「情報集めなんて地味なことしてねえで、俺が喧嘩の仕方を教えてやるよ! 狂犬の残党なんて、こうやって顎の下からガツンとよぉ!」

「ちょ、蓮くん危ないって! 俺はスマホでのハッキング担当ね〜。他校の裏掲示板のパスワード、一瞬で抜く方法教えてあげる」

蓮と陸が、歳の近い高橋を面白がってこねくり回し始める。

「あの、お二人とも、一ノ瀬先輩の授業が……」

と困惑する高橋。