その黒曜、あまりに気高く、あまりに最狂

――同時刻、鳳の街の境界にある、廃墟と化したボウリング場

薄暗いフロアの奥で、昨夜レイに完膚なきまでに叩きのめされた狂犬連盟の初代総長、
金城が、包帯まみれの体で電話に噛みついていた

「……ああ、そうだ。俺の『狂犬連盟』は、たった一晩で鳳の『黒曜』に、あの敬語の女に潰された……!」

金城の震える声に応えるように、電話の向こうから、低く、
どこか楽しげな若い男の声が響く

『へえ、あの金城さんがそこまでボコボコにされるなんてね。よっぽど強いんだ、その女総長』

「笑い事じゃねえ! あいつは化け物だ! ……だが、俺は絶対に認めねえ! 黒曜を、あの九条レイを殺してくれ! お前なら……お前の実力なら、あの女の首を獲れる!!」

金城は血走った目で、受話器に向かって絶叫した。

「頼む……お前が、狂犬連盟の『二代目総長』になってくれ……!」

しばしの沈黙の後、電話の向こうの男は、ふっと妖しく笑った

『いーよ。そこまで言われたら、俺もその“気高くて最狂の女”ってやつに、俄然興味が湧いてきた。狂犬の看板、俺が二代目として引き受けてあげる』

電話が切れる。
金城は力尽きたように座り込んだが、その顔には醜い復讐の笑みが浮かんでいた

(見とけよ九条レイ……。二代目が動けば、お前たちの平穏も、その気高きプライドも、すべて地獄に落ちる……!)

鳳の街に、新たな、そして今までで最も危険な嵐が近づきつつあった。