ワースト・エデン


「い、いくらなんでもそんなの⋯」

「なら今すぐ2000万払え」

「っそれは、」

「延ばせば延ばすほど、利子が増えるぞ」


物凄い眼力で睨まれれば、視線を逸らして背中を丸めるしかなくなる。

私には全く非はないと思うけれど、実際書類にサインをしてしまったし。

ここはどうやら覚えがないが通じる世界ではないらしいし。


やっぱり、何度考えても選択肢はひとつしかない。



けどさあ⋯、


うーん、うーん、と首を曲げながら顎に手を立てて考える私に、黒髪のお兄さんがトドメを刺す。



「最後の選択肢を選ぶってなら、今日以降の利子はゼロにしてやる」



それはまるで、甘いあまい蜂蜜のように、私の脳内に入り込んで思考を鈍らせた。


「ほ、ほんとうに利子はナシにしてくれるのっ?」


あ、利子はナシって語呂がいいな。ぷぷ、とまた先程の二の舞を踏む前になんとか笑いを堪えた私に黒髪のお兄さんが頷く。


「仕事の内容によっちゃ、給料も出す」

「⋯マジで?」

「基本無給だけどな」


はい、乗った。

もう奴隷でもメイドでも召使いでもなんでもいい。とにかく、借金を返すのに一番良いのは彼らの元で働くことだと思った私はさっきまで踏んづけられていた右手を天高く挙げて頷いた。



「やります、やります!」

「じゃあ、契約成立ってことで」

「はいっ!今日からよろしくお願いしまーす!!!」



こうして私は、彼らの元で働くことを条件に、借金の返済を待ってもらい、利子を無くしてもらう契約書にサインをしてしまった。




きっと、こんなんだから私は2000万の借金を肩代わりする羽目になってしまったんだろう。