「それで、こき使われて働くってのは具体的にどういったことをすればよろしくて?」
諦めモードに入った私は投げやりにそう言って、やっと足を退けてくれた黒髪の、これまた真っ黒な瞳を見つめた。
「山田芽依子の人権がなくなると思え」
綺麗な顔で、綺麗な声で、とんでもなく恐ろしい事を言うこの男は、やっぱりどこか人間味がない。
えっへん、──── ここで、黒髪お兄さんの説明を簡潔に整理してみよう。
私の人権がなくなるというのは何も、本当に私の存在や戸籍等といった事が消え去るというものではないらしい。
ここでいう人権がなくなるという意味はいわゆる、奴隷みたいなものだということだ。
私は、ここで、お兄さんたちの元で、
奴隷同然で働かなくてはならないらしい。
お兄さんたちの言うことは絶対だし、お給料も出ないらしい。言われたことに拒否権もなく、言うことを聞かなければいけないらしい。
到底受け入れられないものだ。



