ワースト・エデン


なんだ、その選択肢は。

バカバカしいにも程がある!と思いつつも、現実的なのは最後の選択肢かなあ、なんて考えてしまっている私は、「こき使われて働くってのはどういう意味で?」とインタビュアー気取りで左手をグーにしてマイク替わりだと言わんばかりに彼の方へと向けた。

ぎゅ、と右手にかかる重さが増した気がしなくもないけれど、ここはギャーギャー喚くよりも、質問に答えてもらいたいとグッと我慢する。



「そのままの意味だよ。俺らの良いように働かされんの」


頑張って痛みに堪えたのに、答えたのは金髪だった。クソ。


「だから、それがどういう意味かって聞いてるんですー!」

「だからそのまんまだっつってんだよ!」

「だからまんまがわかんねぇっつってんだよ!」


怒り出す金髪の口調を真似してみれば、ゴツン、とゲンコツを食らった。


「舐めんじゃねぇぞ、ガキ」


そのまま頭頂部に拳をグリグリ押し付ける金髪だけれど、もう怖くないもん。
だって金髪は下半身を蹴れば大人しくなるって学んだから。だからそんな睨んでも怖くありませーん!

べっ、と舌を出せばまた、ゲンコツが降ってきた。絶対たんこぶ出来たよこれ。嫌になっちゃうなぁ、本当に。


さすさす、とマイクだった左手でそこを擦るとやっぱり、ぼこっとなっていて悲しくなった。

そんな私たちのやり取りをクスリと笑いもせずに見つめる黒髪お兄さんに、詳しい話を聞く。

だって、答えなんてもうほとんど決まっているようなものだ。




お母さんの家を売りたくはないし、迷惑をかけるのも嫌。

かといって身体を売り物にするのは気が進まない。まぁ、そんな価値のあるものだとも思わないけど。
でも女の子だもん、嫌なものは嫌だよ。


それと裕二くんを見つけ出すってのも現実的ではない。今現在、どこにいるのか見当すらつかないし、何より見つけたところで裕二くんが払わないと言ったら結局私に借金が回ってくるわけで。



だったら、選択肢は最後のやつしかないじゃない?