「これ、お前の男のなんだわ」
一切笑わず、というか表情を動かさずに家で金髪も見せてきた借用書を見せてきた黒髪のお兄さんにふるふると首を振る。
「それは、裕二くんの借金であって私のものではない、です」
あまりにも黒髪のお兄さんから人間味を感じなくて少しだけ声が震える。だけど違うものは違う。払えないものは払えない。だから何とかその言葉を振り絞った。
私のその言葉に金髪ははぁ、とため息を吐いた。
だけど黒髪兄さんはまだ、表情を動かすことをしない。
まるでお人形さんなんじゃないの?と疑ってしまう程に。
しかもこのお兄さんは人の話を聞いていないらしい。
「払えよ、今すぐ。2000万」
さっき金髪たちに払えないと言ったばかりなのに、同じことを言ってくる。
しかも私の借金じゃないって、今言ったところだよね!?え!?ちゃんと聞こえてなかったのかな!?と、マジマジとお兄さんの顔を見る。
圧倒的なイケメンパワーに押されて一秒で逸らしてしまったけど。
でも、さ。あれだよ、そもそも私は騙されて連帯保証人になんかなってしまったわけよ、
裕二くんが借金してるなんて知りもしなかったし。
だから、私は、寧ろ、被害者だ。
そうだ!被害者だよ!!
と、宣言するように。
濡れたせいでちょっぴり重くなった服を気にすることなく立ち上がった。



