ワースト・エデン






「おい、起きろクソアマ!!」


パシャン、と顔に何かが投げつけられる。

その瞬間、パチっと目が覚めた先には借金取りの金髪。


やっぱり、夢じゃなかったみたい。



「テメェ、いつまで寝てんだよ、早く起きやがれクソが」

「自分で寝かせたくせにワガママだなぁ」

「あ゙あ゙!?」


だって、そうでしょ?首のところにチョップ入れて寝かせたんでしょ!?と、金髪を睨んでいれば、ポタっと顎から伝い落ちた雫。


「水ぶっかけないでよ、これお気に入りの服だったのになぁ⋯」


先程かけられた水のせいで、お気に入りの部屋着が濡れてしまっている。

結構高かったんだよ?これ。


と、私がぶすくれていると、コツン、と靴音がした。

その音はただの靴音のはずなのに、どこか上品で、どこか重く。


終を知らせるような、そんな予感のする音だった。




「お前、山田芽依子で間違いないな」



低すぎす、だからといって中性的な高い声でもない、心地のいい音域の声。
だけど何の感情も乗らない無機質声。

そんな声に名前を呼ばれ、金髪の奥を覗くように顔を向ける。


一つの部屋、その端の床で寝そべっている私。

目の前に立つ金髪。


を、退けるようにして現れた黒。



カットソーと、細身のパンツ。

一歩間違えば全身黒ずくめの怪しい人物だ。

だけど、そこにセンスさえ感じてしまうのは彼の顔があまりにも綺麗だからだろうか。




「ここの人は黒が好きなの?」



金髪もアッシュお兄さんもみんな黒い服で。この一際イケメンなお兄さんも、黒で。ついでにこのお兄さんは髪の毛まで真っ黒だ。

だからそう考えてしまうことは別におかしい事ではないのに、チッと舌打ちを落とす金髪。


「テメェは頭湧いてんのか」


イラつきながらも呆れたような口調だ。

だけど、目の前の黒髪兄さんは表情を一ミリも動かさずに私を見ていた。