記憶の欠片

 それから、あっという間に数週間が過ぎた。


 待ちに待った約束の日。


 朝から空は雲ひとつない快晴だった。


 窓を開けると、夏の匂いを乗せた風が部屋へ吹き込んでくる。


 今日は、海。


 お気に入りの白いワンピースに袖を通し、小さなショルダーバッグを肩に掛ける。


 鏡の前で髪を整えて、小さく深呼吸した。


 「よし」


 胸が高鳴る。


 高校生になって初めての夏。


 どんな一日になるんだろう。