左は陽くん、右は蓮くん。

蓮は不思議そうに、あきを見る。
「……えと、何かあったの?」
「……」
あきは言葉を発する事はない。
ただ、浴衣から見える指先がまだ震えていた。
陽は、あきの震えている指先に一瞬だけ視線を落とした。
分かれ道が見えたら、私は蓮と夜道を歩く。
蓮は何も聞いてこない。
さっきの記憶が脳裏で何度も再生されて、背筋が凍る。
誰かの手が、私の腰を掴んだ感覚がした。
「莉央、危ない!」
蓮の声で現実に引き戻される。
私は目の前の赤信号も見えていなかった。
目の前を車が何台も通り過ぎていく。
私の腰に手を回したのは、蓮で慌てて離れた。
「……危ないから」
いつもと変わらぬ表情で、蓮は私の手を握った。
蓮と手を繋ぐ事態を、想像した事も無かったからだろうか。
心音が騒ぐ。
繋いだ手から、私の鼓動が伝わるんじゃないか——。
そう考えたら、生きた心地がしない。