世にも奇妙な買取屋


 商店街の外れに、カードショップを見つけた。

 そこには、俺が集めているポケカードがたくさん売られていて、絶版カードや大会限定カード。

 さらに、世界に数枚しかない超レアカードまで取り扱っていた。

 もちろん値段は、破格。

 今まで貯めていたお年玉を全部使っても到底、買えない金額だ。

「欲しいなぁ……」

 ガラスケースに張りついてカードを眺めていると、ひとりの店員に声をかけられた。

「この店のオリジナルパックなら百円で買えるよ」

「レアとかも入ってるんですか?」

「欲しいカードを思い浮かべながらパックを開けると、いいことがあるかもしれないね」

 こういうのは、どうせノーマルカードしか入ってないに決まっている。

 だけど、せっかくだからと一枚だけその百円パックを買ってみた。

 メガザードンが当たりますように……!

 そう念じながらパックをその場で開けると、キラキラと輝く金色のカードが出てきた。

「えっ、うそ、メガザードンだ……!!」

 超激レアのメガザードンはワンボックスで買っても入っているのは0.1%。

 その価値は日に日に上がっていて、今では百万円以上の値打ちがある。

「ゆ、夢みたいだ……」

「良かったですね」

 店員さんは、優しい顔でにっこりしてくれた。

 それ以来、俺は毎日のように店へ通った。

 俺の運がいいのか、百円パックを買うたびに欲しいカードが次々に手に入った。

 おかげで友達にも自慢できるし、バトルでも余裕で勝てるようになった。

 俺のカード運は絶好調だったが、友達は不運続きみたいで……。

「えっ、メガザードンを失くしたっ!?」

「……うん。それだけじゃない。ゼシロムも、クロッキーも、メガチューも……大会で優勝した時にもらったカードまで全部」

「ええっ!」

 どれも高額で取引される貴重なカードばかりだ。

「な、失くしたってどこで?」

「気づいたら、カードケースの中から消えてたんだ。全部自力で引いたやつだったのに……」

 友達の落ち込みようは、見ていられないほどだった。

 失くしたというカードは、俺が最近百円パックで当てたものばかりだった。

 可哀想だし、一枚くらい譲ってあげようかと思ったが、俺だって次に引ける保証はない。

 結局、カードをあげることはできず、ただ慰めることしかできなかった。

 そして、俺はその日もカードショップに行った。

 もし百円パックでレアカードが引けたら、友達にあげよう!

 そう意気込んでレジに行くと、いつもの店員さんが七色に輝くカードを眺めていた。

「いらっしゃい、今日も来たんだね」

「そ、そのカードって……」

 友達が失くしたと言っていた、大会優勝記念カードだった。

「も、もしかして、誰か売りに来たんですか?」

「いや、これは誰かが失くしたカードさ」

「え?」

「うちは誰かが失くしたカードだけで商売をしている。だから仕入れは全部タダ。こんな高額カードが無料で手に入るなんて、最高だろ?」

 背筋が冷えた。

 つまり俺が手に入れたカードも、全部、誰かのものだったってことか?

 翌朝。机の上に置いておいたケースからカードが一枚残らず消えていた。

 カードショップの前には、新しい張り紙が貼られている。

【本日の入荷、激レアカード多数】



〈解説〉

♦️まさか自分が引いたカードが、誰かの失くしものだったとはね。

でも、本当にそのカードは失くしたものだったのかしら?

♣️語り手もその友達も、大切にカードケースに閉まっていたみたいだし、妙だね。

♦️失くしたことにしてカードショップの店員が盗んでいたと考えると、かなりゾッとするわ!