拾われたメイドは冷徹な御曹司に夜だけ私の「声」に恋をする

私、一歌は走っていた。
あの、家から逃げるために。
私の家はもう嫌だ!
雨の中薄着で飛び出したけど…行く先もない私はただ走ることしかできない。
「ぎゃあ」
ついに転んでしまった。
雨や髪が顔にパックのように貼り付いて、気持ち悪い。
でも家から追いかけてくる人も心配してくれる人もいない。
御年17歳の私…もう駄目なのかな…
その時車が走ってくる。
私に気がついたのか止まって、ドアが開く。
「おい…何してるんだ…」
と低い声が響く…
私は少しかすれた声で
「だすけてください」  
と声をかける。
「お前…」
驚いたような顔でこちらを見つめてくる。
でも、今の私にはどうでもよい。
生きれるならどんな人でもいいから助けてもらいたかった。
するとその人にお姫様抱っこされた。
恥ずかしい…そんな思いで私の意識は切れた。
…あの人、スーツを着てたし、何処かの会社員かな
もう、ほぼ意識がないなかで私はそう思った。
「うーん…」
次に目覚めると、そこは豪華な部屋だった。
いい匂いにフカフカのベット…
「うわっお金持ち」
思わずそう呟いていたようで、「目覚めて第一声がそれか?」
とさっきお姫様抱っこしてくれたであろう人が喋りかけてきた。
でも、なんだか目が合わないし耳も赤い気が…
「あなた…誰?」
「それはこっちのセリフだが…まぁ、俺の名前は快楽だ、」
「お前は?」
「私は…一歌」
「そうか、一歌はなんで倒れてたんだ」
呼び捨てかよ…と思いながら
「えっと…快楽さん?実は…」
私は倒れた理由を話し帰るところもないからホテルに泊まろうと思うけど、スマホを持ってないから(なんとかお金は持ってた)ホテルが何処にあるか教えてほしいとも言った。
「放っておくと、強盗でも起きるかもしれない、帰るとこがないならここで働け、そのかわり部屋はつけるもちろんお金もな」
それはなんといい話だろう!
強盗呼ばわりされそうになったことも忘れ…てはないけど、私の答えはもう決まっている。
「ぜひ!」
「それと、このカバンは何だ?」
彼が指してきたのは黒くて少し大きいカバン。
「えっと…これは、わたしの小銭稼ぎの必要なもの…です!」
「ああ…そうなのかならいいが」 
このとき私は夢にも思ってなかった。
あんなに激愛『されてた』だなんて。