「エミちゃん、たくさんありがとうね。」
「いえ!3年間お疲れ様でした。」
「うん、すごい濃い3年間だった。」
帰り道。カイト先輩にそう言われた。
こうやって一緒に帰るのも最初で最後だと思う。
今日は偶々。
先輩がわたしの家の方向に用があるらしい。
「あの、聞いてもいいですか?走るより大切なこと。」
聞いてはいけない気もしたけど聞いてしまった。
もう話せる機会もなくなるし、、、
「サクラのこと。サクラのことが走るのよりも大切。」
頭を殴られた気分だった。やっぱり先輩はサクラさんだ。
「俺らの学年では有名なことなんだけど、
サクラって双子のおねーちゃんがいたんだ。
だけど亡くなった、去年の春。両親と一緒に。
家族全員で交通事故にあって助かったのはサクラだけ。
誰かが見てないとなにするか分からないから。
実際、サクラは今、病院通ってるし。」
「サクラさんの為に走るのやめちゃうんですか?」
「ううん、それは違うよ。エミちゃん。
ドクターストップ。
みんなには言ってないけど足故障してるし。」
「そうだったんですか…」


