偽りの姫の手に堕ちた元姫は、最強男子達に寵愛される。

「…落ち着いたか?」

俺が連れてきたのは、Vestaxの特別部屋。

今の時間帯は薫は女共のとこだろうし、日向はどうせ星羅が退学した情報を調べてんだろ。

「…ありがとう…ございます…。」

…にしても…、

Silvaが来てから、結杏の様子がおかしくなった。

『分かってたのに』

まるで、Silva とあの女が一緒にいることを、分かってたかのような口ぶり。

もしかして…結杏は…。

…いや、これは流石に踏み込みすぎか…。

…でもなんだろうな。

さっきから俺の中で、色んな感情がぐちゃぐちゃになって、まるで押し出されるような感覚。

俺は、結杏があいつらの事で泣いてるって分かってから、よくわかんねー感情に飲み込まれそうになる。

…お前と出会う前は、こんな感情…知らなかったのに。

結杏を隣で見つめると、唇が赤くなっていることに気が付く

「…結杏。」

「…?」

名前を呼びながら、結杏の唇を撫でる

鉄の匂い。

血が出てんな…。

「は、る…?」

涙を浮かべて、潤んだメガネ越しの黒い目。

首を傾げて分からない…としたような顔。

こんな状況でさえ、結杏に思わず心を鷲掴みにされる。

「…結杏。」

この名前を呼ぶだけで

笑った顔を思い出すだけで

俺の心は満たされた。

でも今は、結杏の泣いた顔だけが視界に映る。

なんで…泣いてんだ。

お前を苦しめたのはなんだ。

お前を傷つけたのは、一体誰なんだ。

「…1人で、抱えんな。」

そう言えば、結杏が驚いたような顔をする

やっとわかった。

結杏が泣いてる時、凄く胸糞悪くなることも。

結杏の笑った顔を思い出すだけで、たまらなく愛おしく思うこの感情も。

…俺はお前が好きなんだな。

結杏。

もうこれ以上、

他の奴の事で、泣いたりすんな。

お前は、世界で1番

笑った顔が似合うんだから。