「いつまでもここにいたら血臭でまた魔物が引き寄せられる。出来れば死骸を燃やせればいいんだが」
どうにか笑いを納めた男はウィズと名乗った。
ウィズの言葉に、まだ余力のあったもので魔物の体を1箇所に集め、魔術師が火炎魔術で一気に焼き払う。
その間に魔物の体から魔石を取り出していたウィズは、興味深そうに馬車の側でこちらを見ていたアメリアに、その中でも大きな一粒を放り投げた。
「魔物避けになる。持っていればいい」
少女の掌ほどもある赤い石は、熊型の魔物のモノで魔石としては極上の部類だった。
多くの人の命を奪ってきたであろう魔物の中にあったとは思えぬほどに美しい石をじっと見つめた後、アメリアはぎゅっと握りしめると小さな声で「ありがとう」と呟いた。
脳裏をよぎるのは、今回の襲撃で不幸にも命を落としてしまった護衛たちの笑顔だった。
小さな拳を額にあて黙り込んでしまったアメリアをしばらく見つめた後、ウィズは仲間の遺体の前で祈りを捧げている魔術師たちの方へと歩み寄った。
「誰か時止めの魔術を使えるものはいないか?いるなら、これを使って遺体の保存をして、帰りにでも荷馬車を雇って連れて帰ってやるといい」
無造作に狼の魔獣から回収した魔石を手渡すウィズに、渡された魔術師は面食らったように目を瞬いた。
魔物の体から取れる魔石には魔力が宿っており、魔術師の行使する魔術の補助に使うこともできるのだ。
「小粒だが数はあるからなんとかなるだろう?それとも、燃やして骨にして帰るか?その方が場所はとらないが、確かマリーンでは土葬が主流だったよな?」
「あ……ああ。出来るならこのままで連れて帰ってやりたいと悩んでいたところだ。助かるが、……いいのか?」
魔石は色々な道具の原動力や守り石として使われるため、専門店に持っていけば買い取ってくれる。傭兵や冒険者の収入源であり、権利は討伐したもの、つまりウィズにある。
「構わない。死者への手向けとして受け取ってくれ」
あっさりと答えて背を向けるウィズに静かに頭を下げると、生き残った魔術師2人は力を合わせ、仲間たちの遺体の腐敗が進まないよう時どめの魔術と目くらましの結界をかけた。
これで、せめて体だけでも家族の元に帰してやることができるし、きちんと故郷で弔う事もできる。
それは、生き残った者たちにとっても救いだった。
自分たちを見出して、魔術師として仕込んでくれた大恩ある師の顔についた泥と血をそっとぬぐうと、涙をこらえ呪文を唱える。
その姿に、誰もがそっと目を閉じて仲間の冥福を祈った。
必要な処理をすませた一同は素早くその場を後にした。
昼を少し過ぎたばかりの時間だったため、予定よりも足を早め、距離を稼ぐことに専念した。
そのため、街にまでたどり着くことはできなかったものの、どうにか森を抜けることが出来た。
主人をなくした馬を借りて共に来ていたウィズも、誘われるまま野営を共にすることにした。
あえてフードをとって顔を晒す気にはならないものの、一行の主人が笑い飛ばしてしまった以上、護衛達が、ウィズに感謝こそすれ排除しようとする動きがあるはずもなく、居心地は悪くなかった。
だから、共に食事をとりながら護衛隊長のランバードに改めて目的地である神都シシューへの同行を頼まれた時も、ウィズはどうせ通り道だとあっさりと頷いたのだった。
魔獣の襲撃により護衛の数を減らしていたため、快諾したウィズにランバードはホッと胸をなでおろし感謝を告げる。
焚火を囲む一向に、和やかな空気が流れた。
どうにか笑いを納めた男はウィズと名乗った。
ウィズの言葉に、まだ余力のあったもので魔物の体を1箇所に集め、魔術師が火炎魔術で一気に焼き払う。
その間に魔物の体から魔石を取り出していたウィズは、興味深そうに馬車の側でこちらを見ていたアメリアに、その中でも大きな一粒を放り投げた。
「魔物避けになる。持っていればいい」
少女の掌ほどもある赤い石は、熊型の魔物のモノで魔石としては極上の部類だった。
多くの人の命を奪ってきたであろう魔物の中にあったとは思えぬほどに美しい石をじっと見つめた後、アメリアはぎゅっと握りしめると小さな声で「ありがとう」と呟いた。
脳裏をよぎるのは、今回の襲撃で不幸にも命を落としてしまった護衛たちの笑顔だった。
小さな拳を額にあて黙り込んでしまったアメリアをしばらく見つめた後、ウィズは仲間の遺体の前で祈りを捧げている魔術師たちの方へと歩み寄った。
「誰か時止めの魔術を使えるものはいないか?いるなら、これを使って遺体の保存をして、帰りにでも荷馬車を雇って連れて帰ってやるといい」
無造作に狼の魔獣から回収した魔石を手渡すウィズに、渡された魔術師は面食らったように目を瞬いた。
魔物の体から取れる魔石には魔力が宿っており、魔術師の行使する魔術の補助に使うこともできるのだ。
「小粒だが数はあるからなんとかなるだろう?それとも、燃やして骨にして帰るか?その方が場所はとらないが、確かマリーンでは土葬が主流だったよな?」
「あ……ああ。出来るならこのままで連れて帰ってやりたいと悩んでいたところだ。助かるが、……いいのか?」
魔石は色々な道具の原動力や守り石として使われるため、専門店に持っていけば買い取ってくれる。傭兵や冒険者の収入源であり、権利は討伐したもの、つまりウィズにある。
「構わない。死者への手向けとして受け取ってくれ」
あっさりと答えて背を向けるウィズに静かに頭を下げると、生き残った魔術師2人は力を合わせ、仲間たちの遺体の腐敗が進まないよう時どめの魔術と目くらましの結界をかけた。
これで、せめて体だけでも家族の元に帰してやることができるし、きちんと故郷で弔う事もできる。
それは、生き残った者たちにとっても救いだった。
自分たちを見出して、魔術師として仕込んでくれた大恩ある師の顔についた泥と血をそっとぬぐうと、涙をこらえ呪文を唱える。
その姿に、誰もがそっと目を閉じて仲間の冥福を祈った。
必要な処理をすませた一同は素早くその場を後にした。
昼を少し過ぎたばかりの時間だったため、予定よりも足を早め、距離を稼ぐことに専念した。
そのため、街にまでたどり着くことはできなかったものの、どうにか森を抜けることが出来た。
主人をなくした馬を借りて共に来ていたウィズも、誘われるまま野営を共にすることにした。
あえてフードをとって顔を晒す気にはならないものの、一行の主人が笑い飛ばしてしまった以上、護衛達が、ウィズに感謝こそすれ排除しようとする動きがあるはずもなく、居心地は悪くなかった。
だから、共に食事をとりながら護衛隊長のランバードに改めて目的地である神都シシューへの同行を頼まれた時も、ウィズはどうせ通り道だとあっさりと頷いたのだった。
魔獣の襲撃により護衛の数を減らしていたため、快諾したウィズにランバードはホッと胸をなでおろし感謝を告げる。
焚火を囲む一向に、和やかな空気が流れた。

