「姫様、なりません」
押しとどめようとする侍女の手を振り切るように、少女が1人、降りてきた。
年の頃は15〜6。
柔らかな金のウェーブを描く髪と、晴れ渡る夏空のような青い瞳を持った美しい少女だった。
「いいえ。命を救われたのです。ぜひに私からもお礼を言わせてください」
血の匂いが濃く残るその場に不釣り合いな甘く涼やかな声は、意外なほどの芯の強さを持ってその場へと響いた。
旅装の為、膨らみのないシンプルなドレス姿ではあったが、仕立ての良さは見るものが見ればすぐに気づくことができた。
さらに、ピンと伸びた背筋とまっすぐに向けられる瞳が、少女が普段人を従えさせることに慣れている階級の出である事を示していた。
ピクリとローブ男の肩が揺れた。
それを気にすることなく近づいた少女は、しなやかな仕草で膝を折った。
「マリーン王国のセイラーン公爵家の娘、アメリアと申します。この度は危ない所を救っていただき、誠にありがとうございました」
予想以上に高い身分であったことに、ローブの下で男の眉が顰められた。
しかし、公爵家の令嬢に正式な礼を尽くされ、そのままにするには男は真面目すぎた。
逡巡の後、片膝をつき騎士の礼をとる。
片手を拳にして胸に置き、もう片方を背に回す。
(国3つを挟むほどの遠方の国の騎士が、単騎でこんな場所で何をしているんだ?)
それが遠く東にある小国の騎士の所作である事を思い出し、隊長は内心で首をかしげた。
「お言葉ありがたく存じます。訳ありの身ゆえ………」
ローブの男が何かを言おうとしたその時、一陣の風が吹いた。
そして、風のいたずらは頑なに隠されていたローブの中身を白日の下に晒してしまう。
押しとどめようとする侍女の手を振り切るように、少女が1人、降りてきた。
年の頃は15〜6。
柔らかな金のウェーブを描く髪と、晴れ渡る夏空のような青い瞳を持った美しい少女だった。
「いいえ。命を救われたのです。ぜひに私からもお礼を言わせてください」
血の匂いが濃く残るその場に不釣り合いな甘く涼やかな声は、意外なほどの芯の強さを持ってその場へと響いた。
旅装の為、膨らみのないシンプルなドレス姿ではあったが、仕立ての良さは見るものが見ればすぐに気づくことができた。
さらに、ピンと伸びた背筋とまっすぐに向けられる瞳が、少女が普段人を従えさせることに慣れている階級の出である事を示していた。
ピクリとローブ男の肩が揺れた。
それを気にすることなく近づいた少女は、しなやかな仕草で膝を折った。
「マリーン王国のセイラーン公爵家の娘、アメリアと申します。この度は危ない所を救っていただき、誠にありがとうございました」
予想以上に高い身分であったことに、ローブの下で男の眉が顰められた。
しかし、公爵家の令嬢に正式な礼を尽くされ、そのままにするには男は真面目すぎた。
逡巡の後、片膝をつき騎士の礼をとる。
片手を拳にして胸に置き、もう片方を背に回す。
(国3つを挟むほどの遠方の国の騎士が、単騎でこんな場所で何をしているんだ?)
それが遠く東にある小国の騎士の所作である事を思い出し、隊長は内心で首をかしげた。
「お言葉ありがたく存じます。訳ありの身ゆえ………」
ローブの男が何かを言おうとしたその時、一陣の風が吹いた。
そして、風のいたずらは頑なに隠されていたローブの中身を白日の下に晒してしまう。

