好きだよ。ごめんね。

ある日、私は珍しく父上に呼び出された。


大広間へ向かうと、父上が1人座って私を待っていた。

「…来たか」


「お久しぶりです、父上。」


「あぁ。」


父上とこうして会話をするのは、約1年と半年ぶり。


…それに気が付かない父上も、苦手だった。


優しい言葉1つかけられたことの無いその姿に、小さい頃は胸が苦しくなった。


…今はもう、慣れてしまったけれど。


「お前の許嫁を準備した。」


「…はい。」


こういう身勝手もすらも、もう気にも止めない。


ただ、この会社の跡取りとなる人だから変なおじさんとかでは無いのは確かだけど。


…恋とかすらも、自由にできないのね。


私の人生の意味って、なんだろう。


「我々の会社の取引相手の会社で、まだウチに比べたら小さな会社だが、今契約を結べば必ずどちらも大きくなる。」


…要するに、会社の利益の為に貢献しろ…って事か。


相手はどんな人?


いい人?


年齢は?


そんな質問すら、私には権利がない。


私は父上と、会社の利用道具でしかないんだから。


「見合いは相手の都合により、1ヶ月後だ。
それまでに準備をして置くように」


「…はい。」


…あと1ヶ月で、私の自由は本当に無くなる。


1ヶ月後に見合いをしてしまえば、花嫁修業や会社の仕事などを学ばされる。


つまり


私の自由の期限は


─1ヶ月。