私は、左隣の席を見る。
…他の机には、色々な教科書が入っているのに。
隣の席には紙の一つすら入っていない。
今は、机の持ち主が学校に来ていないから。
お隣の席の生徒は、氷室奏くん。
私は彼を、三年生になってから……ううん、入学式以来一度も姿を見ていない。
何故かは分からないけれど…入学式からっていうことは、入学式に嫌なことがあったのだろうか。
そんなことを考えたとしても、彼が姿を見せることは一向にない。
クラスメイトとして、仲良くしてみたいけれど…。
(無理に友達になるのも、氷室くんを傷つけるかもしれないし……)
というか、そもそも会えないんだけどさ…。
「って、先生に書類を提出しなきゃ…!」
私は、慌てて書類をまとめて教室をあとにしようとした―――
「…あ?」
「え?」
聞き馴染みの無い声がして、教室の扉の方に視線を向けると……
そこには、今私の話題に出ていた…氷室くんが居た。

