「今日は楽しかったです!お邪魔しました…!!」
私は教室を出てから、小さく頭を下げる。
「乃愛ちゃん、入る時も出る時もお辞儀するよなぁ」
「やっぱり、お邪魔した身だし……」
「律儀やね〜」
豊くんが、感心したようにそう言ってくれる。
私のモットーは“人を傷つけない”だけど…礼儀も、大切にしてる事のひとつ。
そこを褒められると、私としては当たり前のことをしてるだけだけど…嬉しいと感じる。
「…というか、奏くん」
優越感に浸っている中で、今日感じた疑問について聞いておこうと思った。
「ん、なに?」
「えっと…昼食、とらなくてよかったの?食べてなかったみたいだけど……」
私が聞くと、奏くんは驚いたように目を見開いた。
豊くんはたくさんパンを食べてて安心したけど…奏くんは一口も食べていなかった。
それで、もしかしたら体調が悪いのかな……?とずっと心配だった。
でも……
「別に…乃愛が食べてないのに、二人とも食べるとか失礼かなって思っただけ」
「え……」
「心配とかしてんなら、気にしなくていい」
私のために、食べないでくれたんだ……。
迷惑かけちゃったかな、とも思ったけど…奏くんの優しさに胸が暖かくなった。
問題児なんて言葉、彼らには似合わないなと、そう思った。
「…ふふっ、優しいですね」
私は、二人にそう笑いかける。
もう…他人だって、思えないな。
無理そうなら諦めようって、思ってたけど…きっと何があっても、この人達に寄り添いたいって思っちゃうんだろうな。
「明日も、来ていいですか…?」
「……うん」
奏くんがそう答えてくれた。
豊くんも、そんな奏くんに呆れていたけど…小さく頷いてくれた。
「ありがとうございましたっ!それでは…!!」
私は、そんな彼らに手を振って…授業に向かった。

