ただ、距離が縮まったとは言えど……話すネタはそう見つからないもので。
空き教室には、しばらく無言が流れていた。
私は人がいる時に、今のように無言になってしまうと…気まずさが勝ってなにか話したくなる。
だけどむやみに話すのも迷惑かも…いやでも、話した方が…?
「…ふっ」
私がうんぬんと悩んでいると、溢れ出たような笑い声が聞こえた。
驚いて、二人の方を見ていれば……
「あ…ごめん」
笑っていたのは…意外にも奏くんだった。
って、流石に意外は失礼か…。
「ど、どうしました…?」
私が尋ねると、奏くんは言うかを迷ったように目を逸らしてから…やがて答えてくれた。
「いや…ずっと百面相してるから、少し笑っちゃって……」
「え!?私、そんなのしてました…!?」
き、気づかなかった……。
百面相してる私を思い浮かべて、みるみると恥ずかしさが湧き出てくる。
「あーらら、奏がいじめたから乃愛ちゃんが赤くなっちゃったやん」
「は、俺…!?」
目を泳がせて慌てる奏くんを見て、私も思わず笑ってしまった。
「………綺麗」
「え?き、きれ……」
奏くんが、すんと真面目な顔になってそんなことを言ってくるから…もっと顔が熱くなっていく。
さ、流石に自意識過剰かなっ…!?
「え、おふたりさんとも顔真っ赤にされると対応に困るんやけど……?」
私と奏くんを見比べた豊くんが、苦笑いを浮かべていて…顔が真っ赤ながらも、私はまた笑ってしまった。

