アイツ…生徒会長が去ってすぐ、豊にぐいっと詰め寄られた。
「どういう心境の変わりなん?昨日までの奏やったら…絶対拒絶しとったやろ」
その口調と表情から…少し、苛ついてると悟った。
コイツは人のことが嫌いだ。
だから、そう簡単に人を信じない。
だから、生徒会長が“他の人と違う”と認識したとしても…まだ警戒心をとけないんだろう。
俺も…そのはずだったのに。
「もしかして奏くん、恋心抱いちゃった?」
「え?そゆこと!?」
「は、ちげーから!!」
琉叶がそんなことを真顔で言ってくるもんだから、俺は思わず大きな声を出す。
この二人の前なら…自分を見せれる。
「…わかんないけど、なんか……感じたんだよ」
「……他の奴と、違うって思ったん?」
「あぁ」
豊は、モテる。
豊は授業にこそ出てないけど、放課になればたまに廊下をふらついてる。
そんな豊目に好意を抱いて、近寄ってきたヤツがいる。
そして豊の逆鱗に触れ、結局は一目散に逃げ出すパターンを俺は何度も見てきた。
でも…あの女は、逃げ出さなかった。
欲望とか恋心とか、生々しい気持ちなんて一切なくて…あったのは、本気で“寄り添いたい”と思っている暖かさだった。
豊だけじゃなくて、俺にも琉叶にも…同じ瞳を向けてくれた。

