「え、えっと……はい、!」
答えないのも良くないかな、と思い…なるべく笑顔で返事をした。
「…なんか用?」
明らかに「早く出ていって欲しい」という表情をしながら、私に問いかけてくる氷室くん。
私はなんとか驚きを落ち着かせ、冷静に答える。
「ほんの少しだけ、お話したくて」
私がそう言うと、氷室くんはさらに視線を鋭くした。
「…無理。早くどっか行ってくんない?」
うん、それが普通だ。
私は多分、不審者かなんかだと思われてるよね…あはは……。
「ですよね、ごめんなさい!失礼しました…!」
無理に引き止めることをすれば、もっと嫌だと思われてしまうだろうし…。
それに、ほんの少しだけ会話を交わせたことが少しの進歩なんじゃないかな。
「え……」
私がそんなことを考えていると、氷室くんは唖然としていた。
あれ?わ、私…何か変なことをしたかな?
もしかしたら、今までの言動で何か癪に障ったかもしれない…!!
「あ、あの…!すみませ…」
「奏ー?何ボーッとしとるん?」
私が謝罪の言葉を言い切る前に、教室の中から、そんな関西弁が聞こえてきた。

