夏と君



あぁ。今年もダメだったなあ。


しかも好きな人いるって言われちゃったし。




ますます伝えにくくなったな……



でも今年は少しだけ、少しだけだけどアヤトくんに近づけた気がする。



「はぁ、」



無意識にでてしまったため息に彼が「どした?」
なんて少し屈んで覗き込んだ。
黒いストレートの髪が少し揺れてその姿にもドキドキしてしまった。



「暑い?顔赤いけど、」



ええ、暑いです。全然ドキドキが収まらなくて焦った私は、



「全然暑くない!!!混まないうちに駅向かお〜!」と真逆へ向かっていた。



そんな私にアヤトくんは「逆だ、ばーか。さすが方向音痴!」と大爆笑していた。 




「さく、こっちだよ。」と優しく私の手を握った。

「え?」


その行動に私の心臓はさらにドキドキしてしまう。



「さく逸れそうだから家に着くまで握っとく。」と私の手を離さなかった。