初恋が君に届くまで

(ここから私達の人生が重なっていく)

つむぎはそんな思いで、次々と現れる写真をじっと見つめた。

高校1年生のクラス写真、まだ接点のない二人。

同じ行事に参加しても、廊下ですれ違っても、この時はまだお互いを認識していなかった。

そして高校2年生、体育祭。

映し出された写真に、つむぎは思わずテーブルの下で丈の手を握る。

そこには、凛々しい応援団長としての丈の姿があった。

(綾瀬くん……)

つむぎの目に涙が込み上げる。

(そうだ。確かにあの時の綾瀬くんの姿は私の目に焼きついてる。誰よりも声を張ってみんなを1つにまとめていた頼もしい綾瀬くんを、今でも)

次の写真が現れると、今度は丈がつむぎの手をキュッと握った。

応援合戦の演舞を、真剣な表情で練習するつむぎの横顔。
その視線の先にいる丈を真っ直ぐに見つめて。

(私、こんなにも綾瀬くんのことを?)

絶妙なアングルのその1枚に、遠くに見える丈をひたむきな眼差しで見つめるつむぎが収められていた。

(こんなの、もう……)

きっとこの時には、つむぎは丈に心惹かれていたに違いない。

自分では気づかないうちに、いつの間にか、きっと。

「綾瀬くん……」

つむぎは涙をこらえて丈を見つめた。

「私、あなたのことが大好きだったの」

丈は一瞬驚いたような表情のあと、優しく目を細めた。

「俺もだよ、つむぎ」

写真はいつしか動画に変わる。

丈の掛け声に合わせて、一糸乱れぬ動きを見せる青組のつむぎ達の演舞。

リレーでは、圧倒的な速さで次々とほかの選手を追い抜く丈と、両手を組んで祈るように見つめるつむぎ。

丈がゴールテープを切って駆け抜けると、つむぎは口元を押さえてふわりと花咲くような笑顔になった。

あどけなさの残る顔で、濁りのない澄んだ瞳で、つむぎは確かに丈だけを見つめていた。

「私の初恋の人も、綾瀬くんだったんだね」
「つむぎ……」

互いの手を握りながら、二人で見つめ合う。

「俺の初恋、やっとつむぎに届いたな」
「うん。ずっとずっと、私を想い続けてくれてありがとう、綾瀬くん」
「こちらこそ。初恋の相手と結ばれるなんて、最高に幸せだな」
「本当に。出来過ぎた少女漫画みたいじゃない?」

いや、と丈は首を振る。

「俺が確かな現実にしてみせる。初めて好きになったつむぎを、俺は一生愛し続けるよ」
「綾瀬くん……」

つむぎの瞳から涙があふれた。

「私もあなたのことが、いつまでも大好きです。ずっとずっと、一緒にいてね」
「もちろん。俺達の初恋は、永遠に続くんだ」
「うん!」

微笑んで頷き合うと、またスクリーンに目をやる。

そこには、優勝が決まり、肩を組んで喜ぶ青組のメンバーが映っていた。

弾ける笑顔の丈とつむぎをキラキラと彩りながら、写真は白いスクリーンに溶け込んで見えなくなる。

それはいつまでも二人の心に残り、これからも輝き続ける初恋の瞬間となって……

(完)