初恋が君に届くまで

12月になり、初めて二人で一緒に過ごすクリスマスイブの為に丈はラグジュアリーなホテルを予約した。

24日の仕事が終わると丈は車でつむぎのマンションまで迎えに行く。

海沿いのホテルに着くと腕を組んでフレンチレストランに向かいながら、丈はつむぎの姿に目を細めた。

「つむぎ、そのワンピース可愛いな」
「本当? 普段はこんな色選ばないんだけど、友ちゃんと買いに行った時におすすめされて……」

つむぎは赤の膝丈のワンピースに白いボレロを合わせていた。

「よく似合ってる」
「ふふ、嬉しい。綾瀬くんもそのスーツ、ノーブルな雰囲気でとってもかっこいいよ」
「そうか? ありがとう」

二人で微笑み合い、窓際のテーブルに案内されるとロゼワインで乾杯する。

「メリークリスマス」

いつも丈の部屋で食事をすることが多く、こんなふうに改めて雰囲気のよいレストランで向かい合うと照れるのか、つむぎははにかんでうつむいた。

照明を絞った店内はテーブルのキャンドルが揺れ、つむぎの瞳の輝きをほのかに揺らす。

丈はつむぎの大人びた表情に見惚れた。

(初めて好きになったのは、高校生の時のひたむきな眼差しのつむぎ。でも今はこんなにも大人っぽくきれいなつむぎに、言葉もなく目を奪われてしまう)

するとつむぎが顔を上げ「どうかした?」と首を傾げた。

「いや、あまりにつむぎがきれいで惚れ惚れしてた」

つむぎは目を見開いて頬を赤く染める。

「そんな……。綾瀬くんこそかっこよくて、知らない人みたいよ」
「つむぎの知らない俺?」
「うん。なんだか手が届かない遠い所にいる人みたいな気がして」

ふうん……と、丈は余裕の笑みを浮かべた。

「それならあとで、嫌ってほど抱きしめてやる。つむぎ、このホテルの部屋を取ってあるんだ」
「えっ、そうなの? 明日も平日で仕事があるのに?」
「ああ。明日はここから車で会社に送って行くよ。つむぎの服も、俺のマンションに置いてあるのを持って来た」

つむぎはキョトンとしてから、おかしそうに笑い出す。

「すごいね、綾瀬くんって。そんなところも仕事ができる感じ」
「それはもう。仕事より張り切ってたからな」
「ふふふ、そうなのね。ありがとう。とっても嬉しい!」

つむぎの可憐な笑顔に丈も笑みを浮かべ、食事を終えると二人で客室に向かった。