初恋が君に届くまで

「綾瀬くん、お誕生日おめでとう!」

迎えた11月15日の丈の誕生日。
仕事が終わるとつむぎは丈のマンションに来て、手料理を振る舞った。

「ありがとう、つむぎ。すごいごちそうだな」

どれも手の込んだ品々で、どうやらビーフストロガノフは人ではなく料理の名前らしい。
しかもトロトロに煮込んだ牛肉が最高に美味しかった。

バースデーケーキもつむぎの手作りで、レアチーズにマーブル状にコーヒーリキュールが織り混ぜてある、ほろ苦さとしっとりさが絶妙なケーキだ。

買おうと思っても手に入らないつむぎのオリジナルな上に、こんなに美味しいなんて。

丈はひたすら感激しながら味わい、幸せを噛み締めていた。

「プレゼントはね、ちょっと大きいの。今持って来るね」

つむぎはそう言うとゲストルームに行き、なにやら大きなものを持ち上げながらヨロヨロと戻って来た。

「えっ、つむぎ? 大丈夫か?」

慌ててそばに行き、ラッピングされた大きな箱を受け取る。

「ずっしり重いな。これ、なに?」
「ふふっ、開けてみて」

言われて丈は、ひとまずその場に箱を置いて中を見てみることにした。

「ん? なんだ? ミニ冷蔵庫とかかな」
「実はワインセラーなの」
「えっ、ワインセラー?」
「そう。綾瀬くんの寝室にお酒が飲めるカウンターを置いたでしょ? だから一緒にこれも置いたらどうかなと思って」
「すごい、嬉しい! ありがとう、つむぎ」
「どういたしまして。フィラートのものだから社割も効いたし売り上げにも貢献できたし、一石二鳥よ。サイズはどうかな? お部屋に合うといいんだけど」

早速寝室に運び入れてみる。

「おっ、カウンターの下にぴったりだ。色もシックだし、いいな」
「本当? よかった、気に入ってもらえて」
「つむぎの気持ちがなにより嬉しい。ありがとう、つむぎ」

丈は優しくつむぎを抱き寄せてキスをした。